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梅の御紋が紡ぐ物語:インドから京都へ

Updated: Jun 21

インド文化と日本文化が自然にとけあう京都にて、奉納舞を動画収録するとともに、イメージ写真をスチール撮影してまいりました。


日本/インド文化の美点を尊重しつつフュージョンした舞踏作品を2点、映像制作中です。


舞踏家 小柳百合子が京都にてインド舞踊を舞う

優美な宮廷舞踏振付を得意とする、インド・プシュカル在住ヘイモント・デヴァラ氏と共作した演目です。フルクリップの公開に先立ちまして、スチール写真で速報をお届けします。


YouTubeを再生できない地域にお住まいの場合は、当ウェブサイト・ギャラリー頁で予告編動画をご覧ください


インドからシルクロードを通じて京都へ飛来した天女

百合子はかつて、シルクロードを幾度となく旅しました。


シルクロードの旅路で、トルファンの火焔山ふもとに座すラクダ
タクラマカン砂漠の陽射しに揺らめく火焔山(2005年8月撮影)

パキスタン国境に近い砂漠のバザール都市カシュガル、西遊記の舞台となった火焔山のあるトルファン、三蔵法師も経典をたずさえて立ち寄った古代遺跡、莫高窟で有名な敦煌、葡萄の美酒で乾杯する陽関、中国の都として長らく栄えた西安などの拠点を、数次にわたり訪れました。


砂漠のオアシス都市トルファンの葡萄棚のもとで、ランチをいただいた百合子
ウイグルの農家にて昼食をいただく百合子(2005年8月撮影、於トルファン)

写真1:三蔵法師ゆかりの古代遺跡へ、ロバ車に運ばれて向かう

写真2:葡萄棚の下にて、ウイグルの踊り子 古麗さんと共に舞う

写真3:日中は50℃近い炎天下につき、ラクダも昼寝して休憩中

(いずれも2005年8月に撮影)


現地の音楽家がタクラマカン砂漠でキャラバンの移動中に奏でてくれた音楽や、レストランショーで三つ編みの女性が回転して踊り続けた歌を、探し続けました。旅路でカセットテープやCDを買いあさっても、微妙に風味を異にする音楽ばかりで、空振りの日々でした。


カシュガルにて、百合子がCDを購入したお店
音楽を司るインドの女神サラスワーティ(弁財天)を彷彿させる肖像画のお店にて、CDを購入(2005年8月撮影、於カシュガル)

これらの音楽でもう一度、エキゾチックに高揚したい-切望しながらも半ば諦めていたころ、南インド映画の劇中歌に、百合子が心惹かれた節回しを見つけることができました。それが名曲「アプサラ・アーリー(邦訳:天女アプサラがやって来る)」です。


三蔵法師はインドから仏教を伝えた。仏教だけでなく、楽の音も共に旅し、伝播したのか。新疆ウイグル自治区で耳にした回族の音楽は、インド文化と通じるものがあった。中国の莫高窟や、日本の神社仏閣で目にした絵画「飛天」は、インドの天地創造神話でも活躍する「天女アプサラ」なのだろうか。

このたび、百合子がインド舞踊を愛する原点となった大切な曲「アプサラ・アーリー」を、シルクロードからの宝物も眠る、京都の古刹を舞台にお届けさせていただきます。

シルクロードの飛天を思わせるインド舞踊ポージング
京都洛西の名刹「正法寺」に伝わるシルクロード宝物の前にて、天女アプサラの舞(2023年撮影 by Warihima Mikami Studio)

梅の御紋が紡いだ物語

京都の伝統的な神社や名刹は、撮影許可を取得するのが非常に困難なことで有名です。結婚式でさえも、拝殿内での撮影はゆるされないと聞きます。


このたび撮影ロケ場所の選定と許可取得にあたり、梅の御紋をたどりました。


2023年1月、インスピレーションを求めて、画材屋に足を運びました。円が五つ連なったパステル紋様の折り紙が目に留まり、購入しました。なじみのない吉祥紋様だと思いました。


2023年3月、京都の仁和寺にて、赤い円が五つ連なった紋様を見つけました。境内のなかに天満宮があり、不動明王が祀られていたのです。本シンボルが梅を表すことを知りました。


帰宅して、天女アプサラの衣装を広げてみました。インド・プシュカルにて共同製作した衣装です。ディーパ・デヴァラ氏がデザインした衣装をベースに、百合子専用のステッチをオーダーメイドしました。赤色で刺繍を加えてほしい箇所を百合子がラフスケッチし、ディーパのインスピレーションで奏でられた紋様は、ほかならぬ梅の御紋でした。


インドへ衣装を発注する場合、日本から細かく指定しすぎず、お任せしたほうが上手くいきます。舞踏家に似合う色味や丈を、直観的に提案してくれます。梅の御紋についても、百合子から指定したわけではありませんが、今回の撮影ロケに繋がるよき流れを感じました。


天女は、神と人とのご縁を紡ぐ存在。梅を介して、不動明王と帝釈天をつなぐ作品を創ろう。

そのように確信して、企画書を準備し、正法寺の住職と副住職に熱意を伝えました。


撮影許可を依頼する面談のとき、お寺の玄関で、とても趣味のよい上品な帝釈天がお出迎えくださいました。小ぶりながらもよく見てみると、百合子がインドからお土産をいただいた時に選んだ帝釈天の置物と、同じポーズをしています。


帝釈天に仕える天女アプサラを表現する場として、またとないお寺だ。

そして、そのお寺にも、仁和寺と製作元を同じくした梅の紋様があることに気づきました。


奉納舞の納め先は、こちらの不動明王さまで間違いない。

またとない素晴らしい機会をいただけたこと、芸術家として誇りに思います。お寺とのご縁をつないでくださった「梅の紋」の人についても、追ってご紹介させてください。


偶然に続く偶然でありますが、下記の着物リメイク・デザイナーを紹介してくれた友人も、名前に「梅」の文字を抱いています。


舞踏家 小柳百合子によるインド舞踊ソロ動画撮影(於・京都洛西 正法寺)
同古刹の書院にて、ゆったりとした瞑想的な曲「オーム・ナマ・シヴァヤ」を踊る(2023年撮影 by Warihima Mikami Studio)

桜、牡丹、蓮がとけあって京都になる

桜は日本を象徴する花であり、牡丹は中国的で、蓮はインドそのものだ。それら三つが違和感なくとけあっているのが京都である。

上記の花にまつわる考察は、「梅の御紋」の京都庭師さんと百合子とで一致した見解です。


京都での撮影を期して数年前に購入したリメイク着物にも、見事な牡丹が咲いています。この中国的な紅の装いも、日本人が着用して京都で踊れば、まごうことなく日本文化となる。


境内で出会った地元の参拝客から、光栄にも「楊貴妃!」と評されました。牡丹に中国を、紅(くれない)に貴人を感じてくださったのかと存じます。大変多くの花を使って染めないと紅の色味に至らないため、高級な布地とされていました。


京都人のDNAには、着物の色と柄の意味合いが、自然に刻み込まれているようです。


日本には、蓮の名前を冠した色名が存在しない。蓮については、衣装の色味で表現する代わりに、手の印相で咲かせたい。ロータス・ムドラをふんだんに盛り込んだ舞をお楽しみに


(記事公開日:2023年6月3日、無断転載不可)


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<記載例>

  • 出典:百合子パフォーミング・アーツ公式ブログ(yuriko-art.jp/blog

  • 百合子パフォーミング・アーツ公式ブログ ◎◎年◎月◎日公開記事「記事タイトル」より引用(記事URL)◎年◎月◎日取得

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