百合子パフォーミングー・アーツ主催ソプラノ・リサイタルにて要となる曲のひとつが、バッハ作曲カンタータです。
カンタータ第51番との出会いは、美術館で手にした一枚のコンピレーション・アルバムから。
ウィーンから東京に戻ってCDの封をあけ、一聴して虜に。それから熱が冷めやらず飽きる気配もみえず、気づけば5年以上経ちます。
クリスマスがもたらした情熱
ジュディッタのアリアも、バッハのカンタータも、クリスマスにめぐり逢いました。
ジュディッタのアリアに対しては、時をかけて愛がふくらんでいきました。対照的に、カンタータ第51番に恋した瞬間は、天上天下に貫く光の柱に貫かれたと言えましょうか。恋は短命と言われますが、本件においては例外だと断言したい。
カンタータ第51番が収録されたCDを手にできたのは、情景に惹かれてのこと。音楽との出会いではあるけれども、聴覚ではなく視覚がたぐり寄せた「ジャケ買い」です。
論文では主語と述語が一致しないといけない。たとえば「匂い」は「嗅ぐ」と結ぶし、「景色」は「見る」とセットだ。けれども、アートや感情を文章で紐解いて表現するときには、情景がかぐわしく香る。主語と述語で駆使するセンスが一致しなくていい。むしろ一致させられない境地に、感性がとらわれるフックを垣間見ている。
写真1:ホットワイン購入!後ろ姿
写真2:ライトアップされた市庁舎
写真3:屋台にならぶスイーツたち
(いずれも2015年12月に撮影)
ライトアップされたウィーン市庁舎クリスマス・マーケットは、スパイシーなホットワインで心身を温めてくれただけでなく、カンタータ第51番という贈り物もくれました。
夕暮れ時のウィーン市庁舎クリスマス市を写した、ジャケット写真がとても美しくて。
ミュージアムショップでCDを買うなんて、それまで想像したこともなかった。
バベルの塔がもたらした混沌の果ては
「同じ絵を何度も見に美術館に通うより、新しく別の美術館を訪れなくていいのかな」と思いながらも、ブリューゲル作「バベルの塔」をもう一度見に行った。その美術館でバッハのCDに出会った。理屈で切り捨てず、忘れられない存在に会いに行ってよかった。
バベルの塔はさまざまな言語が混沌としていくプロセスの象徴だから、違う言語のもの(音楽)に引きあわせてくれたのかもしれない。
今回の記事を執筆中に何度も「ですます調」と「である調」が切り替わった。理屈を万人に理解してもらうことを主眼とした論文であれば、どちらかに統一しなくてはいけない。
語調が切り替わるとき、自分の使用しているセンスが切り替わるのを感じる。芸術にアプローチする時は、より多層的にきりこんでいるのだろう。バベルの塔のように「混沌から創造して表現し、それを伝えるためのコミュニケーションに錯誤する」プロセスを体感しているのかもしれない。あえて編集せず、このまま生々しく残したい。
(記事公開日:2021年2月23日、無断転載不可)
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