パルテノペ伝説に続いてご紹介する「地中海ヒロイン・シリーズ」第2弾です!レハール作曲による音楽喜劇「ジュディッタ」のタイトル・ロールについて:ストーリーの舞台となる地中海を起点として、ルーツに迫ります。
ワイルドなジュディッタ
物語全体をぶぬくジュディッタの精神とは「人や土地に縛られることなく、自由に生きたい」との思い。北アフリカへ駆け落ちしてしまいます。
恋人と地中海を渡航し、海辺の邸宅で新たな人生の幕を開けたジュディッタ。好きな人と一緒にリラックスして過ごした時間は、抑圧を感じて消沈していたジュディッタに、新たな生命力を吹き込んだと思う。
ジュディッタのルーツに垣間見える、ロマの香
ジュディッタは、カルメンのように情熱的な役どころです。
踊り子である母の血を受け継ぎ「アルカザール(スペイン語で「城」)」にてステージ・デビューしたジュディッタは、壇上で官能的なアリアを披露します。
アリアの歌詞では、ジュディッタの母が激しく踊るのにあわせてタンバリンを叩く様子が描かれます。手を道具として打ち鳴らす楽器といえば、ロマの文化。ジュディッタに脈々と流れる「踊り子の血」には、ロマのエッセンスも多分に含まれたことでしょう。
ロマによる芸術の特徴とは
たとえばフラメンコのカスタネットは、インドのラジャスターン砂漠から欧州へ旅したロマの楽器であるカルタール(2枚の木の札を打ち鳴らす)をもとに発展したと考えられます。ロマに特徴的な足を打ち鳴らすステップも、ラジャスターン砂漠、ルーマニア、ハンガリー、スペインに共通する民族舞踊の特徴と感じます。
ロマのルーツを深めたい方には・・
百合子が2015年、2016年、2019年に舞踏家として出演したロマフェスト・ツアーのレポートをお読みいただくと、写真でわかりやすく理解できます。
百合子パフォーミング・アーツウェブサイト > レジュメ(出演履歴)ページ より「Tour(都内・地方遠征・全国ツアーの記録)」タブを押下 > Romafest 主催イベントのリンクへ飛んでくださいませ。日本語の解説記事が読めます。
7代に渡り宮廷を旅して演奏し続けてきたラジャスターン砂漠の音楽家、ルーマニアで200年以上ウェディング演奏を受け持つバイオリニストの家系、ハンガリー国立舞踏団などを招聘したツアーの報告を通じて、旅するトライブの息遣いを感じられます!
さて、ジュディッタが駆け落ちする前に住んでいた土地は、スペインかポルトガルと推測されています。ジュディッタの母は、豊かな裾のスカートをはき、頭に花をつけて踊っていたかもしれませんね。
星たちはささやく、恋をせよと
ジュディッタはアリア「くちづけより熱く」にて星が定める運命を高らかに歌い上げます。
In den Sternen, da steht es geschrieben, Du sollst kuessen, du sollst lieben ! Text by Paul Knepler, Fritz Loehner-Beda
ドイツ語の歌詞で Stern とは、星のこと。
天空に輝く星座がジュディッタに次なる運命をささやきかけてくるのか、はたまたジュディッタの生まれから星で占われた天性の質を叙述しているのか--------冬のすみきった夜空を見上げながら、作曲家レハールがこめた思いにイメージを馳せる今日この頃です。最終的にどのような解釈で百合子が歌うのか、リサイタル 当日まで楽しみにお待ちくださいませ!
さて、自らの運命を星たちと語らったのは、ジュディッタだけでなく、クレオパトラも同じこと。次の記事では、クレオパトラの嘆息を紐解いてまいります。
(記事公開日:2021年2月19日、無断転載不可)
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