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地中海を舞台にした物語のヒロイン達:その①パルテノペ

Updated: Feb 8

鋭意準備をすすめております百合子ソプラノ・リサイタルでは、ストーリー性あるアリアと、メッセージ・ソングとの、2タイプの楽曲から構成しています。本記事では、物語を主軸として主人公の心情が吐露されるアリアたちに、共通するエッセンスを考察します。


色味から馳せるイメージ


去る2019年夏、練習用の楽譜に表紙をつけたくなり、画材ショップに足を運びました。「さまざまな物語から織りなされるアリアたちの、テーマカラーは?」と思いうかべたときに、エメラルドグリーンが降りてきました。


これら3ヒロインのアリアに共通する舞台は、地中海。陽射しが燦々と降り注ぎ、乾いた風が吹く。開放的な港湾都市は「自由に人生を謳歌しよう」と、ヒロインたちを誘うよう。


また、女王であるパルテノペとクレオパトラに共通する文化は、ギリシャ式でした。ギリシャ文化が擁するエーゲ海のイメージが、エメラルドグリーン色となって想起されたのかも。


パルテノペにまつわる伝説


ギリシャ神話ではセイレーンとして描かれるパルテノペは、都市ナポリを象徴する女神です。パルテノペが歌うと、男性は恋に落ちずにはいられない。


ローマ神話においては、ケンタウロスのベスビオがパルテノペに夢中になったのに怒ったユピテル神が、それぞれ火山と街に姿を変えさせたとも。


ベスビオ火山が男らしく噴火するのは、パルテノペへの実らぬ恋心の爆発でしょうか。果てぬ恋路が、ついには灰となってポンペイの街を滅ぼしてしまうなんて!ナポリ為政者の記録を読むと、ベスビオ火山の噴火にはたびたび頭を悩まされていたようで。


写真1:ポンペイ遺跡現地ガイド

写真2:ポンペイ遺跡の邸宅玄関

写真3:ポンペイ遺跡を見下ろす

(いずれも2006年2月に撮影)


歌の申し子として大海に羽ばたくパルテノペ


ギリシャ神話においてパルテノペの出自は諸説ありますが、音楽に才のある女神を母とします。川の神アキレスと女神ミューズの娘であるパルテノペにつながったとき、百合子は「音で戯れる」「清純な歌声」「海」「船」「羽」といったエッセンスを感じました。川で音楽が孕み生まれた流れが、海神ポセイドンの支配する世界へ旅立ち、思い切り遊ぶ----------それがパルテノペと言えないでしょうか。


ナポリ・サンタルチア港にて、セイレーンのパルテノペの亡骸が流れ着いたかもしれない
ナポリ・サンタルチア港にて(2006年2月撮影)

海で楽しく歌い生涯をすごしたパルテノペは、最終的にナポリへ亡骸が流れ着いたとか。「Maiden-voiced(乙女の声)」と称されたパルテノペの歌声は、船乗りの操舵を狂わせてしばしば座礁させた、と伝説化しています。


百合子ソプラノ・リサイタルで演奏するヘンデル作曲オペラ「パルテノペ」も、とても爽やかで軽やかな楽曲です!


作曲家ヘンデルによる製作エピソードについても、別の記事で紹介したいと考えています。ブログ更新をどうぞお楽しみに。


(記事公開日:2021年2月17日、無断転載不可)


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